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高金利でもAI株は強いのか——雇用統計後の市場から考える

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2026年10月2日時点

9月の米雇用統計は弱かった。非農業部門雇用者数は前月比+2.9万人。失業率は4.2%、平均時給は前月比+0.1%だった。発表直後、米10年債利回りは5.16%付近まで低下した。ところが、その動きは続かなかった。

午後には5.28~5.29%付近まで戻り、前日終値を上回った。一方で株式市場は強かった。

S&P500は+0.73%、Nasdaq Compositeは+1.19%。Philadelphia Semiconductor Index(SOX)は+2.18%となり、市場全体を大きく上回った。

今回注目したいのは、この組み合わせだ。弱い雇用統計でも長期金利は下がらず、それでも半導体株は強かった。これは、AI・半導体株の強さを考えるうえで一つの観測点になるかもしれない。

弱い雇用統計でも長期金利は下がらなかった

弱い雇用統計でも長期金利は下がらなかった

今回の雇用統計では、7月と8月の雇用者数も合計6万人下方修正された。少なくとも今回の数字だけを見れば、労働市場が再加速しているとは考えにくい。市場もFedの追加利上げの可能性を引き下げた。

それでも、10年債利回りは雇用統計直後の低下を維持できなかった。

ここで重要なのは、

Fedが追加利上げをしないことと、長期金利が下がることは同じではない

ということだと思う。

長期金利は政策金利だけで決まるわけではない。インフレ期待、経済成長、国債の需給など、複数の要因が影響する。今回の値動きから「長期金利は構造的に高止まりする」とまで判断することはできない。

ただし、少なくとも現在の長期金利を、Fedの次の一手だけで説明することも難しくなっている。

それでも半導体株は強かった

その環境でSOXは+2.18%上昇し、S&P500を大きく上回った。この動きは少し興味深い。

半導体を含むGrowth株を考える場合、単に株価が上がったかだけでなく、どのような金利環境で上がったのかを見る必要があるからだ。

たとえば、金利低下+半導体株上昇であれば、AI需要や利益成長への期待だけでなく、割引率低下による追い風が含まれている可能性がある。

一方、金利上昇+半導体株のOutperformが続くのであれば意味は少し変わる。

高い割引率という逆風以上に、AI・半導体の利益成長を市場が評価している可能性が出てくる。10月2日は、少なくとも後半の値動きではこちらに近かった。

長期金利が雇用統計直後の低下をほぼ打ち消す中でも、半導体株は強さを維持した。現在追っているAI CAPEX関連の仮説にとっては、小さいながらもプラスのEvidenceとして記録しておきたい。

ただし、まだ1日の値動きにすぎない。ここから「AI株は高金利に強い」と結論づけるのは早い。

株価の強さと利益成長は分けて考える

もう一つ注意したいのが、株価が強いことと、企業のFundamentalが強いことは同じではないという点だ。SOXがS&P500を上回っていることは、市場が何を評価しているのかを観測する材料にはなる。しかし、本当に確認したいのは株価そのものではない。AIインフラへの投資が、需要 → 売上 → Margin → Earnings → Cash Flowへ転換され続けているかどうかだ。

さらに、その利益成長が確認できても投資判断は終わらない。良い企業でも、その成長がすでに株価へ十分織り込まれていれば、現在価格から得られるリターンは小さくなる。

したがって、

Relative Strength
≠ Fundamental Strength
≠ Expected Return

として考えておく。10月2日に観測したのは、あくまで最初のRelative Strengthである。

次に確認したいこと

ここから数営業日を見る。最初に確認したいのは、長期金利が高い状態でもSOXの相対強度が続くかだ。

10年債利回りが5%台を維持、あるいはさらに上昇する局面でもS&P500を上回るのであれば、「高金利でもAI・半導体への期待が崩れていない」という解釈は少し強くなる。

次に見るのは、半導体内部の広がりだ。一部の大型AI銘柄だけが上昇しているのか。それともMemory、Networking、Semiconductor Equipmentなどにも強さが広がっているのか。

そして最も重要なのは、やはり決算だ。AI関連企業の受注、売上、Margin、Guidance、Cash Flowが、株価の強さを裏付けているかを確認する。

仮説が強くなるケース

長期金利が高い状態でもSOXのOutperformが数営業日以上続き、上昇が半導体内部へ広がる。さらに企業決算でAI関連需要や利益成長が確認される。

この組み合わせなら、「AI・半導体の利益成長期待が、高い資本コストという逆風を吸収している」という仮説を一段強く評価する。

仮説が弱くなるケース

逆に、金利上昇とともにSOXがS&P500を継続的にUnderperformする。

あるいは株価は強くても、企業の受注やGuidanceが鈍化する。その場合、10月2日の動きはFundamentalな強さではなく、短期的なポジショニングなどによるTactical Rallyだった可能性を考える。

現時点では「観測継続」

10月2日は面白い一日だった。弱い雇用統計によって追加利上げへの警戒は後退した。しかし、長期金利は下がらなかった。それでも半導体株は市場全体を上回った。

現時点では、

「高い長期金利の下でも、AI・半導体の相対強度が維持される可能性がある」

という観測仮説を置く。

まだBuyの根拠にはしない。次に見るべきなのは、株価がさらに上がるかではない。

金利という逆風が残った状態でも相対強度が続くのか。
そして、その強さを企業のEarningsとCash Flowが裏付けるのか。

そこまで確認できて初めて、現在価格からS&P500を上回るExpected Returnが残っているのかを考えたい。

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