株価下落
ノキア、10月24日に株価が大きく下落。
株価推移:10月23日/4.72EUR→10月25日/3.63EUR
下落率にして約24%。この下落の背景を探っていく。
2019年第3四半期の決算
決算サマリーによると、3Qはしっかりした決算、4Qも良い決算となる見込み。
しかし、2019年通期、及び2020年通期の業績見通しは引き下げを行う。理由は、営業利益率の悪化と、先行投資による費用発生が伴うことによる。
- ソフトウェア、エンタープライズ、IP関連の3事業は力強い業績
- 5Gの勢いは継続。48契約と15のライブネットワークが始動
- 配当は5G関連の投資増加&戦略的重点分野とCashポジション強化を目的として停止
- 長期的な営業利益率目標は12%~14%
株価が大きく下落した要因は、①ガイダンスの引き下げ、②配当の停止、この2つと思われる。決算資料を読み詳細を確認。
ガイダンス引き下げの背景
決算資料によると、2019年、2020年ともに、EPSの想定値引き下げを実施。競合他社(この資料で直接の言及はないものの、恐らく、HUAWEIのことと思われる)との競争による営業利益率の低下と、5G関連の投資コスト増大が主要因。
ノキアの成長ドライバーは以下の5つ。
この中で、No.1のend-to-end戦略がノキア特有の戦略。
この垂直統合モデルがノキアの特徴。懸念点としては、5G関連については、完全に新しい事業であることから、コストがどの程度必要か、ノキア自身がビジネスを行っていく上で明らかになってくる。
こういった不明確なコストの見積もりに余裕を持たせるために、ある程度のガイダンス引き下げを発表し、万全を期して臨むのではないかと考えている。
配当の停止について
2019年10月24日の取締役会で、第3四半期、及び第4四半期の配当停止を決定。理由としては、①ノキアの5G関連の設備投資の余力を確保するため、②成長分野への継続投資、③キャッシュポジションの確保の3点。
今後の成長投資に必要な余力を確保するための配当停止ということで、市場では否定的に受け止められて、株価下落に繋がった模様。
この配当停止については、四半期事に見直すこと、及びCFをベースに配当を考えていること、2 billion EURの確保が完了すること、の3点が満たされた場合、再度配当することを示唆しており、今後の復活について可能性を感じることができる説明となっていた。
https://www.nokia.com/system/files/2019-10/nokia_results_2019_q3.pdf
出典:ノキアのIR資料